遺産を相続したくない妹より相続分譲渡証書を取得し、遺産分割協議を成立。銀行預金の相続手続きを実施。
ご依頼者;40代男性、会社員
ご相談・ご依頼のきっかけ
ご依頼者の父親が亡くなり、銀行預金が遺産として残りました。
ご依頼者は、妹と疎遠になっているので連絡がとれないとのことで、ご相談にいらっしゃいました。
当事務所の活動
当事務所が受任して、妹さんの住所宛てにお手紙をお送りしました。
そして、財産取得の意向をお聞きしたところ、父親の面倒を最後まで看たご依頼者(兄)が財産を取得して欲しいとのことでした。
そこで、当事務所が相続分譲渡証書を作成して、妹さんより取得しました。
相続分譲渡証書とは、相続に関して、自己の相続分を他人に譲渡する手続きのことです。
ここでは、妹さんが所有する相続分の全部を、ご依頼者に無償で譲渡する内容となりました。
その後、当事務所で預金の相続に関する必要書類を収集し、遺産のある各金融機関に対して、相続手続き依頼書を送付して、銀行預金の相続手続きを実施しました。
以上の経緯を経て、相続手続きが完了しました。
当事務所が受任した結果
・ 相続人より相続分譲渡証書を取得。
・ 各金融機関に対する預金の相続手続きを実施。
・ 相続手続きの完了。
相続分譲渡について(参考)
相続分譲渡とは、相続権を有する人が、自分の相続分を他の相続人や第三者に譲渡することを言います。
相続分を譲渡した人は、相続問題に巻き込まれない等のメリットがあり、相続分を譲渡された人は、相続権を有するメリットがあります。
相続分譲渡の「相続分」とは、あくまで遺産分割時における権利割合を指しています。
個々の財産の共有部分を指すわけではありません。
相続分譲渡の方法は、遺産を早くもらいたい、遺産相続問題に巻き込まれたくないという場合にとられます。
相続放棄との違いは、以下です。
「相続放棄」は、相続すること自体を放棄しますので、相続することはできなくなり一切の財産を取得できませんが、被相続人の負債を負う義務もなくなります。相続放棄を取り消すことはできません。
これに対して、「相続分譲渡」は「相続分」を譲渡するだけですので、相続人としての身分は引き続き持っています。相続分譲渡をしても被相続人の借金の債権者から返還請求をされたら応じなければなりません。
したがって、相続に関して一切の権利・義務を放棄したい場合は「相続放棄」を選択し、財産分割争いに巻き込まれず早く財産が欲しい場合は「相続分譲渡」を選択します。
但し、相続分譲渡は、譲渡先の相手がある場合にのみ譲渡ができます。
相続トラブル解決事例
- 遺産分割調停で、寄与分、特別受益の主張が認められ、遺産である収益不動産に関して代償分割をして調停成立。
- 遺産分割調停で、相手方による亡くなった親の預金名義の引き出し・費消の主張を退け、調停成立。
- 子のいない夫婦で、妻が実家の共有持分を実親に相続させるよう、公正証書遺言を作成
- 遺産を無断で費消した相続人との間で、示談交渉を行い公正証書を作成
- 死亡保険金が持ち戻しの対象にならないことを主張して、遺産分割協議を成立
- 共同相続人に対する継続的な資金援助(特別受益)を主張して遺産分割調停を成立
- 相続人の成年後見人の選任申立てを行い、遺産分割協議を成立
- 遺留分に配慮した公正証書遺言の作成
- 夫の死後に多額の借金が判明して相続放棄
- 推定相続人廃除を申し立てられ、申立却下の審判を取得
- 献身的な介護による貢献(寄与分)を主張して、遺産分割協議を成立
- 相続財産の調査(不動産、生命保険等)を行い、遺産分割協議を成立
- 遺留分減殺請求を行い、遺留分の満額を取り戻す