共同相続人に対する継続的な資金援助(特別受益)を主張して遺産分割調停を成立

ご相談の背景

ご依頼者は40歳代の女性で、70歳代の父親が亡くなりました。
相続人は、母親と兄とご依頼者の3人です。
父親は、生前に、兄夫婦が飲食業を開業した際、飲食業で生計を立てられるようになるまで、約2年間、不定期ではあるものの毎月15万円程の資金援助をしていました。
父親の財産は、自宅マンション、預貯金、株式等でした。

 

解決方法

この場合、法定相続人は母親と兄とご依頼者の3名で、法定相続分は母親が2分の1、兄とご依頼者が4分の1ずつになります。
母親が自宅マンションを相続することで相続人3人の意見は一致しましたが、預貯金と株式の配分をめぐって兄とご依頼者との意見が対立してしまい、遺産分割協議ではまとまらず、兄が遺産分割の調停を申し立てました。

そこで、調停段階において、当事務所が受任し、特別受益として、兄が生前、父親から受領した資金援助の分を、相続財産に持ち戻しするよう主張しました

特別受益とは、共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受けたり、生前に贈与を受けたりした者がいた場合に、相続に際して、この相続人が他の相続人と同じ相続分を受けることになれば、不公平になるので、共同相続人間の公平を図ることを目的に、特別な受益(贈与)を相続分の前渡しとみて、計算上贈与を相続財産に持ち戻して(加算して)相続分を算定する制度です(民法903条)。

本件で、父親から兄に対し、不定期ではあるものの毎月15万円程の資金援助が約2年間に渡り継続して行われており、資金援助の合計額は約350万円に及ぶことなどを、被相続人である父親の通帳等より立証し、かかる資金援助が親族間の扶養的金銭援助にとどまらず、生計資本としての贈与であり、特別受益に当たると主張しました
その結果、裁判所より、当方意見を採用した調停案が提示され、遺産分割の調停を成立することができました

 

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