死亡保険金が持ち戻しの対象にならないことを主張して、遺産分割協議を成立
ご相談の背景
ご依頼者は50代の男性で、80代の母親が亡くなりました。
相続人は、ご依頼者(長男)、次男、三男、長女、次女の5名でした。
母親は保険契約を締結し、ご依頼者が死亡保険金の受取人になっていました。
死亡保険金は約500万円でした。
母親の遺産は、不動産、預貯金、株式等で、遺産総額は、約7500万円でした。
解決方法
この場合、法定相続人はご依頼者(長男)、次男、三男、長女、次女の5名で、法定相続分は5分の1ずつになります。
次男は、ご依頼者が受け取る死亡保険金について、特別受益に当たるので相続財産に持ち戻しをするよう再三主張し、遺産分割協議がまとまりませんでした。
そこで、当事務所が受任し、次男及びその他の相続人との遺産分割の協議・交渉を行いました。
死亡保険金は、原則として、特別受益とはなりません。例外として、保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には、特別受益に準じて持ち戻しの対象となると解されています(最二小決平成16年10月29日)。
上記の裁判例を基準に、本件で、死亡保険金(約500万円)は、相続開始時の遺産総額(約7500万円)の約6%に過ぎないことなどから、他の共同相続人との不公平が著しいものであると評価すべき特段の事情はない旨、主張しました。
その結果、ご依頼者が受け取る死亡保険金は持ち戻しの対象としないことで次男及びその他の相続人の同意を得て、遺産分割協議を成立することができました。
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