【今からできる相続対策】3ページ 葬儀費用は誰がどこから捻出すればいいの?
1ページの記事にあるように、葬儀費用の平均が190万円近いことがわかりました。負担が小さくないだけに、どのようにして資金を捻出すればいいか、気になるところです。では、亡くなった人の財産から葬儀費用を出せるものなのでしょうか?
結論からいうと、葬儀費用は遺産総額から差し引くことができます。しかし、葬儀に関する費用ならば、すべて差し引けるわけではありません。どれが葬儀費用とみなされ、どれがみなされないのでしょう?
遺産総額から差し引くことができる葬式費用は、通常次に挙げるようなものです。
①死体の捜索又は死体や遺骨の運搬にかかった費用
②遺体や遺骨の回送にかかった費用
③葬式や葬送などを行うときやそれ以前に火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用(仮葬式と本葬式を行ったときには、その両方にかかった費用が認められます)
④葬式などの前後に生じた出費で通常葬式などに欠かせない費用(お通夜などにかかった費用がこれに該当します)
⑤葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
一方、次のような費用は、遺産総額から差し引く葬式費用には該当しません。注意しましょう。
①香典返しのためにかかった費用
②墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
③初七日や法事などのためにかかった費用
【葬儀費用を誰が負担するかは基本的に自由】
葬儀費用を誰が負担するかは、法律では特に定められていません。基本的には自由です。
過去の裁判例を勘案すると、以下のような優先順位の見解が良いといわれています。
1.香典から支払う
2.相続財産から支払う
3.相続人が相続分に応じて支払う
香典は、基本的には葬儀費用の一部を負担することを主な目的とした、相互扶助の精神に基づく金銭その他財物の贈与と解釈できます。まずは香典から支払い、足りなければ相続財産から支払い、それでも足りなければ相続人が相続分に応じて支払うことが想定されます。
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