【今からできる相続対策】3ページ 養子縁組で押さえておきたいポイント
1ページの記事にあるように、相続税申告案件の4割近くが、法定相続人2人以下ということが分かりました。少子化と核家族化か進行していることから、今後は相続が少人数化する傾向にあるでしょう。そこで法定相続人を増やす相続税対策の有効な方法のひとつとして、養子縁組が挙げられます。
養子縁組とは、実質上の親子でない者同士が、双方の合意に基づいて養子縁組届を役所に提出することを指します。多額の相続税がかかりそうな場合で、法定相続人が少ない場合は、養子縁組が有効な対策になります。民法上は養子縁組を何人でもできることになっています。しかし、税法上は法定相続人に入る養子にできる人数には、限りがあります。被相続人に実子がいる場合は、法定相続人の数に含められる養子は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人の数に含められます。
養子縁組の相手は、一般的には、息子の嫁、娘の婿、孫などが適当と考えられています。たとえば、息子の嫁が身の回りの世話をしていたり、娘の婿が事業の後継者になっていて、何らかの資産を残したい場合は、養子縁組を検討しましょう。
ただし、これらの場合、息子・娘夫婦が離婚しても、養子縁組を解消しない限り、元配偶者には相続権が残ったままです。この状態で相続が発生すると、必ずトラブルになるので注意しましょう。
【孫を養子にする際「相続税の2割加算」に注意】
孫を養子縁組する際の注意点は「相続税の2割加算」です。通常、被相続人の一親等の血族や配偶者以外の者が相続や遺贈を受けたときは、相続税額が20%加算されるからです。ただし、被相続人の実子がすでに亡くなっており、孫にあたるその子を養子縁組した場合は、代襲相続人になるため、相続税の2割加算はありません。
さらに重要なポイントとしては、相続税を減らしたい一心で、親族間で十分に話し合うことなく養子縁組を行うと、いずれ「争族」に発展するリスクがある点です。
養子縁組を行って相続人数を増やすと、相続人一人当たりの取得財産が減ります。養子には実子と同様の権利が生じることから、快く思わない親族がいても不思議はありません。
相続は、税金を減らすことよりも、親族間の争いを防ぐことが大事。養子縁組の際は十分に協議して、親族の理解を得ておきましょう。
相続・贈与について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。