【資産安心コラム】2ページ 孫を養子にして小規模宅地の特例を活用し節税を図る!

財産をお孫さんへ生前贈与したり、遺贈したりする事例が増えているそうです。教育資金贈与(最大1,500万円)、住宅取得資金(2015年内までなら最大1,500万円)、結婚・出産・育児資金(最大1,000万円)までの一括贈与制度も活用されています。一方。こつこつ110万円の基礎控除を利用した暦年贈与も盛んです。お孫さんへの生前贈与および遺贈には、相続税の節税効果があります。

松島幸枝さんは、5年前に夫・仙吉さんを亡くし、東京都内で仙吉さん名義の自宅を相続し、一人で暮らしています。一人息子の良太さんは結婚し、家庭を構えています。幸枝さんが自宅を相続した際、「小規模宅地の特例」(8割減特例)という制度を使い、相続税負担を大幅に軽減できました。平成27年からは330平方メートルまでの居住用の土地の評価が最大80%減額できるという制度です。(1)配偶者、(2)同居していた親族、(3)被相続人に(1)(2)にあたる法定相続人がいない場合に限り、持ち家のない親族(子や孫など)が対象となります。「自分が亡くなったら、この家はどうすればいいのでしょう」。幸枝さんはふと考えました。自分の相続人は良太さんただ一人。現在、良太さんは郊外にマイホームを購入し、妻・美香子さん、長男・龍平さんと3人で暮らしています。同居もしていなく、持ち家もある良太さんが、実家の土地を相続すると、小規模宅地の特例は使えません。相続税が跳ね上がってしまうのです。幸枝さんが税理士に相談したところ、孫の龍平さんを幸枝さんの養子にし、孫に相続することを提案してきました。龍平さんは大学を卒業し、都内の会社に就職したばかり。将来は両親と住む自宅から通うより、幸枝さんの家から通勤するほうが便利でした。龍平さんは小さなころから幸枝さんになついていたこともあり、家族は全員了承。幸枝さんの相続が発生した際、養子の龍平さんが自宅を相続することで、基礎控除額が増え、小規模宅地の特例を活用でき、相続税の負担を大幅に減らせるのです。龍平さんは「通勤が楽になり、おばあちゃんの作ったご飯が食べられる」と大喜び。幸枝さんも「毎日龍平に食事を作ってあげられる。一人だと何かと心細いけれど、龍平がいるなら安心。いっそリフォームでもしようかしら」と生きる気力がわいてきたようです。この場合、幸枝さんと龍平さんが養子縁組しなくても、遺言で遺贈する方法もあります。基礎控除は増えませんが、相続税額は大幅に下がることになります。ただし、龍平さんは法定相続人ではないので、相続税が原則2割加算となります。

孫への贈与・遺贈は相続前3年以内の相続財産に加算されない

お孫さんへの生前贈与および遺贈は、親→子→孫の二世代の相続税課税から、親→孫へと一世代飛ばしの効果に加えて、相続前3年以内の相続財産に加算されません。孫は通常、法定相続人ではないからです。

相続・贈与について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

※記事内の名前はすべて仮名。設定は実話に基づき一部脚色しています。

[POINT]

  • 孫への贈与・遺贈には、相続税の節税効果が期待でき、いろいろな制度がある
  • 小規模宅地の特例を使いたくても、持ち家のない子供がいない場合、孫に住んでもらう選択肢がある

記事提供:相続・贈与相談センター本部 税理士法人エクラコンサルティング