【今からできる相続対策】3ページ 相続税の税務調査ではどんな点をチェックされるのか?

1ページにもあるように、相続税を申告すると、約3割という高確率で税務調査を受けることになります。では、税務署はどのような質問をして、どのような点をチェックするのでしょうか?

税務調査とは、行政機関が納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りがあれば是正を求める一連の調査。通常、相続税の申告期限から1~2年後に実施されることが多いです。相続税の税務調査に関しては、調査官からは主に次のようなことを質問されます。

・被相続人(亡くなった方)について(出身地、被相続人の両親・兄弟姉妹、経歴、趣味など)

・相続人について(職業、配偶者等親族関係、生前贈与の有無など)

・被相続人の病状について(病状や経過、入院先や入院期間など)

・経常収入や財産について(財産管理者、不動産権利書や預金通帳の保管場所、申告済金融機関以外の取引の有無など)

・遺産分割協議について(遺産分割協議の状況、未分割の場合の各相続人の主張内容など)

・その他(相続人以外に財産の配分を要求する者の有無、海外資産の有無など)

税務署が目を光らせる「名義預金」とは?

また、申告漏れ相続財産のうち約4割が現金・預貯金であることを踏まえ、現金・預貯金についてはウエートを置いてチェックします。特に「名義預金」の有無については目を光らせているのです。

名義預金とは、預金名義は配偶者や子供、孫等の親族になっているものの、収入等から考えれば、実質的にはそれ以外の真の所有者がいる、つまり実質的には名義とは別の人間が管理・支配している預金を指します。相続税負担をなくす、軽減するために、自分の預金の中身を妻や子供、孫らに移し変えるというケースは決して珍しくありません。「名義さえ違えば、本人の財産ではない」とは、税務署は解釈しません。これがまかり通れば、皆が名義預金をつくってしまい、相続税が徴収できなくなってしまうからです。次のようなケースは、名義預金と判断される可能性が大きいので、注意しましょう。

・妻や子供、孫などの名義の預金の印鑑が、被相続人の印鑑と同一

・遠方にいる子供や孫の預金口座が、被相続人の地元の金融機関にある

・専業主婦の配偶者が、多額の財産を持っている

・子や孫名義の預金や財産が、年齢や年収と比較して多い

税務署は銀行口座の細かい動きを調べ上げることが可能です。きちんとした対策が求められます。

相続・贈与について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。(4ページに関連記事)