【なかなか聞けない相続Q&A】4ページ 遺骨を海にまいてほしいとき、その旨を遺言に書けばいいの?

【Q】私は海が大好きで、自分が死んだら遺骨を海にまいてほしいと考えています。遺言書にその旨を書けばいいのでしょうか?

【A】結論から言うと「遺骨を海にまいてほしい」「葬式はできるだけ盛大に」「好きなたばこを棺桶に入れてほしい」「愛犬の世話を頼む」「死後、臓器を提供したい」「家族みんな仲良くしてほしい」というような、単なる希望は遺言事項に該当しません。民法では、法的効力が生じる遺言事項を定めています。次の10事項に関して、法的効力が生じます。これら以外のことを遺言に記しても、法律上の効力は生じません。

(1)身分に関する事項

1.(婚姻届出をしていない男女の間に生まれた子供の)認知

2.後見人指定および後見監督人の指定

(2)相続に関する事項

3.相続人の廃除および廃除の取り消し

4.相続分の指定または指定の委託

5.遺産分割方法の指定または指定の委託

6.遺産分割の禁止

7.相続人間の担保責任の指定

8.遺贈の減殺方法の指定

9.遺言執行者の指定または指定の委託

(3)財産処分に関する事項

10.遺贈、寄付行為

遺言書に書いても効力がないからと言っても、相続に関する事項のみ書けばよいということではありません。遺言の本来の目的は、争いを避けることにあるはずです。また、財産を残す理由を、心を込めて書いておくと、円満な相続につながります。これは、付言事項という項目で遺族にメッセージを残します。法定相続分で分けるにしても、財産割合に差をつける場合でも、遺言者が財産分けについての考え方を示すことが重要です。

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