【資産安心コラム】2ページ 「おひとりさま」 の相続人は 90歳の母! 相続税負担を考えた解決策は? 後編
相続税改正前の平成25年のことです。関東の郊外住宅地に住む公子さん(62歳)は、「おひとりさま」の妹・ 民子さん(享年60歳)の相続税の相談に来ました。民子さんは大学卒業 後小学校教員を務め、結婚すること なく仕事に打ち込んでいました。定年退職後、第二の人生を送ろうとしていた矢先に急逝。資産は現預金を 中心に1億1,000万円ありました。相続人である母・静代さんに相続放棄 してもらい、民子さんの財産は公子 さんが相続することになりました。
静代さんの相続放棄で、民子さん の財産は、姉の公子さんが相続する ことになりました。公子さんが負担 する相続税は800万円で、1億円超 の資産が手元に残りました。続いて、 静代さんの相続対策に着手しました。
孫やひ孫への贈与で 相続税負担を削減
静代さんの法定相続人になるの は、長女の公子さんです。5,000万 円ある静代さんの資産のうち、基礎 控除額以下の現預金3,600万円(= 3,000万+600万×1人)を残して、 その年の年末に静代さんの孫にあ たる幸太さん、奈美子さん、ひ孫に あたる翔さん、珠理さんの4人に 350万円ずつ、計1,400万円を贈与 しました。孫・ひ孫1人当たりの贈与 税は(350万-基礎控除額110万) ×15%-控除額10万=26万円。4 人分合計で104万円になります。孫、ひ孫の1人当たりの現金手取り額は、 350万-26万=324万円です。 この場合、静代さんから見て孫と ひ孫の4人は法定相続人ではなく、 静代さんの資産を相続しません。静 代さんが4人に贈与してから3年以 内に亡くなったとしても、相続税申 告の際に贈与した資産は相続財産 に加算されません。なおかつ、静代 さんの相続の際、公子さんの相続税 負担は、課税遺産総額がゼロですの で、なくなります。 一方、静代さんから法定相続人の 公子さんに贈与し、それから3年以 内に静代さんが亡くなった場合、相 続税申告の際に贈与した資産が相 続財産に加算されてしまうのです。 次女・民子さん→母・静代さん→ 長女・公子さんの順に相続した場合 の相続税負担は、800万+2,940万 =3,740万円となります。一方、民 子さん→公子さんの相続と、静代さ ん→孫、ひ孫への贈与ですと、相続 税と贈与税は800万+104万= 904万円。税負担を4分の1以下に 抑えられたのです。 相続・贈与について気になること があれば、お気軽にご相談ください。
POINT
● 高齢の親が子供の財産を相続す るときは、相続税負担を考えよう
● 孫やひ孫に贈与すると、贈与から 3年以内に相続が起きても、相続 財産に加算されない
※記事内の名前はすべて仮名。 設定は実話に基づき一部脚色しています。