【なかなか聞けない相続Q&A】4ページ 仲が悪い兄や面識がない甥、姪に 相続させないためにはどうすればいい?

Q 私は独身で子供もいません。両親はすでに亡くなっており、親族として兄がい ます。しかし、兄とは子供のころから仲が悪く、今では絶縁状態です。また、5年前に亡くなった弟には息子と娘(私にとって甥と姪)がいますが、面識がありません。彼らには相続させたくな いのですが、可能でしょうか?

A 兄弟姉妹には遺留分がないので、遺言書を記すことで、財産が渡らなくなります。
 配偶者、子供、両親がいない人が亡くなると、財産は兄弟姉妹が相続します。そのうちすでに亡くなっている兄弟姉妹がいる場合、その子に代襲相続権があります。
 この場合、法定相続人は兄と甥、姪になり、兄が1/2、甥と姪が1/4ずつ相続することになります。たとえ兄弟間の仲が悪くても、面識のない甥、姪であっても、何のアクションを取らないでいると、彼らに財産が渡っ てしまいます。
 どうしても兄や甥、姪に財産を相続させたくないのなら、必ず遺言書を作成しましょう。親しい特定の人や団体に「全財産を相続させる」と記しておくのです。
 通常の相続の場合、どんなに遺言で特定の相続人に遺産を集中させる旨を記しても、配偶者や子供、父母等に関しては、遺言書の内容に関係なく、一定の範囲内で最低限の相続分を保証しています。これを「遺留分」 といいます。遺留分を侵害され た相続人は、「遺留分減殺請求 権」といって、遺留分に相当する財産を請求できる権利があるのです。
 しかし、兄弟姉妹に関しては遺留分という権利そのものが発生しません。したがって、遺言書をきちんと記すだけで、兄や甥、姪が財産を相続すること がなくなります。
 なお、遺言書は公正証書遺言で作成しましょう。形式的な不備がなく、相続手続きがスムーズにいき、財産に対する思いも十分に伝えられます。
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