【今からできる相続対策】3ページ なぜ課税対象者割合が倍増したのか?「身近になった相続」2つの対策方法

1ページの記事にあるように、平成27年の相続税課税対象者の割合が従来と比べ、ほぼ倍増しました。その原因は平成27年1月1日の相続税改正で、相続税基礎控除額が引き下げられたからです。改正によって相続税は身近な税金になりました。
対策を行うにあたって、どのようなポイントがあるのかを簡単に解説します。

基礎控除額はどれくらい引き下がったのか?

 はじめに、相続税の課税対象者の割合が8.0%まで増えた原因である、基礎控除額の引き下げについて、具体的にみていきましょう。相続が発生した場合、相続財産が基礎控除額を超えてはじめて相続税がかかります。平成26年12月31日までに発生した相続についての基礎控除額は、5 , 0 0 0 万円+(1,000万円×法定相続人の数)でした。たとえば、夫が亡くなり、相続人が妻と子供2人だった場合は、夫の財産総額が5 , 0 0 0 万円+
(1,000万円×3人)=8,000万円を超えなければ相続税がかからなかったのです。
 一方、平成27年1月1日以降に発生した相続では、基礎控除額が3,000万円+(600万円×法定相続人の数)になりました。相続人が妻と子供2人だった場合の基礎控除額は3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円と、改正を経てぐんと下がりました。これまで相続税がかからなかった、財産総額4,800万円超8,000万円以下の方でも、平成27年1月1日以降の相続からは相続税がかかるようになったのです。
 都市部に住む高齢者の相続に限定すると、相続税の課税割合は20%近くまで高まることが推測されます。もはや相続税は「富裕層だけの税金」とは言えなくなってきたのです。

相続対策としては「節税」「納税資金」がオススメ

 富裕層でない人でもできる相続対策としては、主に以下の2つがあります。
1.節税対策
2.納税資金対策
 節税対策としては「生前贈与などを使ってプラスの財産を減らす」「マイナスの財産を増やす」「法定相続人を増やして、基礎控除額を増やす」「税額控除、特例を活用する」などが挙げられます。
 生前贈与といっても、さまざまな方法があります。「毎年贈与税の基礎控除110万円以内の範囲でコツコツ贈与する」「子や孫に、教育資金贈与として1,500万円*1まで一括贈与する」「おしどり贈与の特例を利用して、配偶者に自宅を2,110万円分*2まで贈与する」などがあります。 
 納税資金対策としては「生命保険の活用」「延納」「物納」「遊休不動産の売却」などが考えられます。
 相続・贈与について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。

*1:直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税上限額
*2:夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除上限額