【今からできる相続対策】3ページ 後継者不足に悩んでいる企業は127万社!?事業承継を行うための3つの方法とは?
事業を継がせる後継者がおらず、中小企業の廃業が増加しています。経済産業省の試算では、後継者不足に悩んでいる企業は全国で“127万社”にも上るとされています。2025年には経営者の約半数以上が70歳を超え、さらに高齢化が加速します。しかし、後継者不足で廃業する中小企業の約半数は、経常損益の黒字を続けており、技術力も非常に高い企業が多くあります。こういった会社が事業承継を行う方法には、どのようなものがあるのでしょうか?
事業承継の3つの方法
事業承継には、大きく分けて以下の3つの方法があります。
● 親族に承継させる
● 従業員に承継させる
● M&Aで売却する
それぞれメリットとデメリットをご紹介しましょう。
一つ目は親族に承継する“親族内承継”です。これは子どもや親族に事業を継がせる方法です。
メリットとしては、
● 内外の関係者が心情的に受け入れやすいこと
● 後継者を早く決めれば長期の準備期間が取れること
● 自社株や事業資産の承継も同時に行えば所有と経営の一体的な承継ができることが挙げられます。
デメリットとしては、後継者の力量の見極めが難しいということが挙げられます。早期に準備を進めたのに、後々撤回となる事例も増えてきています。
二つ目は“親族外承継”です。社内へ承継する場合には番頭格の役員や長年勤務している従業員を、社外へ承継する場合には取引先や取引金融機関から招聘した人物を後継者とする方法です。会社内外から広く後継候補者を求めることができ、長期間勤務している従業員に承継する場合は、内外の理解を得やすく、経営の一貫性も保ちやすいというメリットがあります。デメリットとしては、会社の株式を親族に分配している場合、親族株主の了承を得る、または買い取って新経営者に集中させなければ、所有と経営が分離する可能性があります。最悪の場合、株主と経営者との間で争いになることもあります。
経営者も利益を手にできるM& Aという方法
三つ目は社外への引き継ぎ、“M&A”(合併、買収)です。株式譲渡や事業譲渡などを通じて、事業承継を行う方法になります。
メリットとしては、
● 親族や社内に適任者がいない場合、広く外部に適任者を求めることができること
● 現経営者は会社を売却することによって利益を得る可能性があることなどがあります。
最近では中小企業のM&Aを行う企業が増えてきたことや、国の事業引き継ぎ支援センターなどが全国に設置されたことから、M&Aを選択する中小企業経営者が増えているそうです。
デメリットとしては、
● 希望条件(従業員の雇用、売却価格等)を満たす買い手を見つけることが困難であること
● 創業者一族が経営から退くため、社内外とも経営の一貫性を保つことに労力を要することなどがあります。
できるだけ早めに専門家に相談し準備を始め、企業価値を維持することが重要になります。いずれの方法を選ぶにしても、事業承継の期間として5年から10年ぐらいの準備期間を見て、早めに動くことが大切です。