【事業継承ニュース】2ページ 事業承継成功のために④ 〜新・事業承継税制の適用要件は?〜

新しく生まれ変わった事業承継税制(以下、新税制)。適用要件としては、適用を受ける際の『入口要件』と、適用を受けた後その税金が免除されるまで(死亡等まで)の期間中に順守しなければならない『事後要件』によって構成されます。

<入口要件>
 新税制の適用を受ける際に、先代経営者・後継者・対象会社の要件(表1)のすべてを満たす必要があります。

<事後要件>
 新税制は、納税の猶予からスタートします。贈与の場合には先代経営者(贈与者)が死亡した時等に後継者が猶予されていた贈与税が免除されます。納税の猶予なので、猶予期間中に守らなければならない『事後要件』があり、継続届出書の提出かつ申告期限から5年間の承継期間に順守が必要な要件と、5年経過後も順守が必要な要件(表2)によって構成されます。
 当然のことながら最初の5年間の方が厳しく、代表者であり続けること、株式を継続保有(すべての承継株式)し続けることなどを守る必要があります。5年経過後は、代表者を退任すること、株式を売却することも可能ですが、株式を売却した場合には売却分に応じた猶予税の納付をしなければなりません。なお、経営環境変化事由に該当する場合は税金の再計算が認められます。

<表1>

先代経営者
・会社の先代代表者(贈与前に退任要)で、後継者を除いた同族関係者の中で筆頭株主(議決権ベース)であること
・他の同族関係者と合わせて議決権の過半数を有すること
※贈与者が複数の場合、先代経営者以外の贈与者による贈与は、先代経営者の贈与以後に行うこと

後継者
・会社の代表者であること
・他の同族関係者と合わせて議決権の過半数を有すること
・同族関係者の中で筆頭株主(議決権ベース)であること
※後継者が複数の場合には、総議決権数の10%以上の議決権数を保有し、かつ、後継者と特別な関係がある者(他の後継者を除く)の中で最も多くの議決権数を保有することとなること
・贈与の場合、3年以上役員で、かつ、贈与した時点で20歳以上であること

会 社
・会社及び会社の特定特別関係会社が、中小企業者で、かつ、上場企業・風俗営業に該当しないこと
※特定特別関係会社…特別関係会社(代表者及び同族関係者が議決権の50%超を保有する会社)のうち、代表者及び生計を一にする親族が議決権の50%超を保有する会社
・資産管理会社でないこと。ただし、3年以上商品販売業等を営み、親族外従業員の数が常時5名以上であり、事務所等を有する場合はOK
※資産管理会社…有価証券、自ら使用していない不動産、現金・預金等の特定の資産の保有割合が総額の70%以上の会社や、これらの特定の資産からの運用収入が総収入の75%以上の会社

<表2>

経営承継期間(申告期限翌日から5年)
・後継者は代表者であり続けること
・後継者は株式を保有し続けること
・会社の雇用を平均80%以上維持すること(満たせない場合、書類の提出で猶予継続)
・資産管理会社に該当せず、上場会社・風俗営業会社に該当せず、主たる事業からの収入金額がゼロとはならず、資本金・準備金を減少せず、解散せず、種類株式(黄金株)を後継者以外の者が保有していないこと

経営承継期間経過後
・株式を保有し続けること(全部又は一部)。なお、経営環境変化(過去3年のうち2年以上赤字など)に該当する場合、売却・合併・解散する時は、その時点でも株式評価による税額を再計算し、承継時の納税猶予税額との差額を免除する
・代表権維持、雇用維持要件、上場会社・風俗会社の制限の要件なし
・資産管理会社に該当せず、主たる事業からの収入金額がゼロとはならず、資本金・準備金を減少せず、解散していないこと(経営環境変化がある場合解散OK)