【事業継承ニュース】2ページ 事業承継成功のために⑥ 〜資産管理会社とは?〜

中小企業の現経営者から後継者へ株式を承継する際の相続税や贈与税を軽減する『事業承継税制』ですが、すべての中小企業が適用対象となるわけではなく、事業承継を行う会社が『資産管理会社』の場合には、税制の適用対象外となってしまいます。
今回は、多くの中小企業にとって最も関心の高い、この『資産管理会社』について解説します。

 事業承継税制の適用が認められる要件として『資産管理会社に該当しないこと』があります。資産管理会社には『資産保有型会社』と『資産運用型会社』の2種類があり、このどちらかに該当した場合は事業承継税制の適用対象から外れてしまいます。
 この資産管理会社の定義は、次のようになされています。

【資産管理会社の原則判定】
⑴資産保有型会社
 有価証券、自ら使用していない不動産、現預金等の特定資産の合計金額が、総資産額の70%以上の会社のことです。なお、配当や過大役員給与の支給により分数式の分子の額を低下させる潜脱行為を防止するため、過去5年内の同族関係者への配当額、過大役員給与がある場合には、分数式の分母分子両方に加算します。

総資産額÷特定資産合計額 ≧ 70%

※過去5年間の同族関係者への配当、過大役員給与等を分母分子に加算

⑵資産運用型会社
 上記の特定資産からの運用収入が、総収入金額の75%以上の会社のことです。

総収入÷特定資産の運用収入 ≧ 75%

【資産管理会社の例外判定】
 『資産管理会社』の原則判定には例外もあります。
 贈与時または相続開始時において、下表イ~ハのいずれにも該当する場合には、『資産管理会社』に当たらないとされます。また、不動産賃貸業等は資産管理会社なので対象外のように思われていますが、この要件によっては適用対象になる場合もあります。
 つまり、原則判定を満たさない場合でも、例外判定で復活できるケースがあるというわけです。
 ただし、検討の余地となる例外要件は常時満たす必要があります。たとえば、ロ要件の親族外従業員を5人以上雇用している会社は事業承継税制の対象になる可能性がありますが、適用されるまでの期間は、人数が欠けないように注意が必要です。

イ 相続・贈与日まで継続して3年以上にわたり、商品の販売、資産の貸付け等の事業(親族等への貸付を除く)を行っていること

ロ 相続・贈与時において、常時使用する従業員の数(経営承継相続人と生計を一にする親族以外)が5人以上であること

ハ 相続・贈与時において、ロの従業員が勤務している事務所、店舗、工場その他の固定施設を所有し、または賃借していること