【今からできる相続対策】3ページ 生命保険の指定受取人が死亡していた!保険請求権とその割合はどうなる?

生命保険の受取人を配偶者にしたまま、配偶者が先に亡くなってしまうことがあります。その後、被相続人が亡くなった場合、その生命保険金は誰が相続することになるのでしょうか。今回は、生命保険の指定受取人が死亡していた場合の受取人と受取額、そして生命保険金の非課税枠との兼ね合いなどについて紹介します。

指定受取人が先に死亡していたら法定相続人が受取人となる

 たとえば、両親と長男・次男の4人家族がいたとします。あるとき母親が亡くなり、数年後に父親も死亡してしまいました。相続のため父親の財産を調べたところ、生命保険金があることがわかったものの、受取人は母親となっていました。
 この場合、誰が生命保険金を受け取るのかというと、『法定相続人』が受取人となります。ここで重要なのは“誰の法定相続人なのか”ということ。被相続人の法定相続人ではなく『保険金の受取人の法定相続人』となることに注意が必要です。
 今回のケースでは、子ども2人は受取人である母親の法定相続人であると同時に、父親の法定相続人でもありますから、いずれにしても保険金を受け取ることができます。
 しかし、仮に保険金の受取人が母親ではなく、すでに離婚した元配偶者や第三者だった場合、子どもが保険金を受け取れないというケースが出てくることになります。特に、離婚したのに受取人を元配偶者から変更していなかったとなると、トラブルに発展しやすくなってしまいます。指定受取人が死亡した場合は、早急に受取人の変更手続きをしておくようにしましょう。

生命保険金の分配方法、非課税枠の適用はどうなる?

 では、生命保険金はどのように分配するのかというと、法定相続人で『均等に』分配します。今回のケースで1,500万円の生命保険金があったとすると、長男と次男が750万円ずつ分けます。
 このとき、“相続税の計算はどのようになるのか”についても重要な問題です。母親の法定相続人である子ども2人が生命保険金を相続した場合、子どもたちは父親の法定相続人でもあるため、生命保険金の非課税枠が適用されます。
 生命保険金の非課税枠は【500万円×法定相続人の数】であり、この非課税枠を受け取った保険金の額に応じて分配します。今回のケースでは、非課税枠は全体で1,000万円となり、1,500万円の生命保険金を子ども2人が750万円ずつ分けますから、非課税枠は長男が500万円、次男が500万円となり、それ以上の金額は課税財産となります。
 一方、生命保険金の受取人が法定相続人ではない場合は非課税枠の適用はありません。
 生命保険は、加入してから保険金の支払いまでの期間が非常に長くなるケースが多いです。受け取ってほしい人に保険金を渡すためにも、定期的に指定受取人を含めて見直すことが大切です。