遺産分割は何をするのですか?遺産分割で一部の相続人が参加しないとどうなりますか?
遺産分割は何をするのでしょうか。
遺産分割で一部の相続人が参加しないとどうなるのでしょうか。
遺産分割の対象となるのは?
被相続人の財産は、被相続人の死亡時に当然に各相続人に法定相続分で相続されます。
このうち、預金(旧郵便局の定額預金を除く。)や貸金、借金のように数量的に可分な遺産は、相続と同時に法定相続分に従い、当然に分割されますので、本来は、遺産分割の対象になりません。
しかし、全相続人の同意があれば、遺産分割の対象とすることができますし、実際は、数量的に可分な遺産も遺産分割の対象に含めて話し合いをすることが普通です。
ただし、借金は相続人間でいくら分割を協議しても債権者には対抗できません。
現金や不動産、株式などは、数量的に可分ではないので、遺産分割の対象になります。
相続人の全員参加が必要
遺産分割の対象になる遺産は、全相続人で遺産分割協議をして、誰がどれだけ相続するのかを相続人全員が参加する遺産分割協議で話し合う必要があります。
公平に遺産分割をするため、一部の相続人が参加していない分割協議は無効とされ、再度協議をし直さなければなりません。
戸籍謄本などで、法定相続人をしっかりと確認しておく必要があります。
なお、遺産分割協議に出席するのは、相続人だけとは限りません。
代襲相続人、包括受遺者も出席する必要があり、全員出席して初めて協議が成立します。
また、相統人が未成年者である場合は、代理人を立てる必要があります。
親権者も相続人の1人である場合は、両者の間に利害の対立が生じるため、代理人にはなれませんので、家庭裁判所に申請して、特別代理人を選任してもらいます。
さらに、参加すべき相続人などに行方不明者がいる場合は、家庭裁判所に申し出て不在者財産管理人を選任してもらい、その管理人が参加して協議を行うことができます。
ただ、その場合の遺産分割協議書は家庭裁判所の許可があって初めて有効になります。
相続人の合意があれば遺産配分は自由
法定相続分は、法で定めた遺産に対する持分の割合であり、遺産配分の基準となるものです。
もっとも、どのように配分し、分割を行うかは相続人の自由です。
必ずしも、法定相続分に従わなければならないというわけではありません。
もちろん、相続争いなどで、遺産分割の協議がまとまらないときのための家庭裁判所の調停や審判では、法定相続分が基準となります。
協議が成立しなければ家庭裁判所の調停、審判によることになります。
協議や調停では、本人たちの意向が反映されますので、相続分に大きな変更は起こらず、自然と相続分に近いものになります。
審判の場合は強制的に決めることになります。
相続分の割合は変更できませんが、相続する人の実情も考慮しています。
遺産にはいろいろなものがあり、分割については複雑な事情もあるので、このようなあいまいな基準になっています。
ただし、相続人全員の合意により、法定相続分とは異なる遺産分割をしてもかまいません。