遺産分割協議の注意点

遺産分割協議・遺産分割協議書作成の際の注意点は、以下のとおりです。

遺産分割協議・遺産分割協議書作成の注意点

必ず法定相続人全員で協議する

法定相続人全員で遺産分割協議を成立させなければなりません。戸籍を取り寄せて法定相続人を確定する必要があります。

但し、全員が合意した事実があればよいので、全員が一堂に会して協議することまでは必要ありません。実際は、遺産分割協議書の案を1通作成し、他の相続人に郵送等の持ち回りで内容に合意できれば署名・押印するという方法がよくとられます。

法定相続人全員が署名・押印(実印)する

住所・氏名は、住民票、印鑑登録証明書通りに記載します。

実印で押印し、印鑑登録証明書を添付します。

「誰が」「どの財産を」「どれだけ取得するか」を明確に記載する

後日、遺産が発見された場合、どのように分配するかも決めておくとよいでしょう。財産の記載漏れがあっても、改めて遺産分割協議書を作成しなくて済みます。

財産の表示を明確にする

不動産の表示は、所在地や面積など、登記簿の通りに記載します。不動産の所在地や家屋表示等は、住所(住居表示)にしないよう注意してください。

預貯金等は、銀行名、支店名、口座番号等まで記載して特定してください。

契印(割印)をする

遺産分割協議書が数ページにわたる場合は、法定相続人全員の実印で契印(割印)をします。

印鑑登録証明書を添付する

遺産分割協議書には、実印で押印し、印鑑等登録証明書を添付します。

 

その他の注意点

 相続人が未成年の場合

相続人の中に未成年者がいる場合、①未成年者が成年に達するのを待ってから遺産分割協議をする、又は②未成年者の代理人が遺産分割協議をすることになります。

②の場合、通常、親権者である親が未成年者の代理人となります。しかし、親と子供が共に相続人となる場合は、親と子供の利益が互いに対立することになるため、子供の利益が守られないおそれがあるため、親は子供の代理人として、遺産分割協議をすることができません。

このような場合、家庭裁判所に特別代理人の選任を申し立てます。未成年者である相続人が複数いる場合は、それぞれ別の特別代理人が必要となります。

実務上、特別代理人の選任を家庭裁判所に申し立てる際に、遺産分割協議書の案を添付します。

行方不明の相続人がいる場合

行方不明の相続人がいる場合、①不在者のための財産管理人の選任を申し立て、財産管理人が遺産分割協議をする、②失踪宣告を待って遺産分割協議をする等の方法が考えられます。

遺産分割協議のやり直し

遺産分割協議は、成立した後にもう一度遺産分割協議をやり直すことが原則として出来ません。ただし、無効、取り消しの原因となる正当な理由があれば、一部又は全面的にやり直すことができます。

やり直しが認められる場合としては、以下のケースが考えられます。

1 遺産分割時、相続人の意思表示に詐欺・錯誤・強迫などがあった場合
(例)相続人が他の相続人に騙されていた

2 分割後に、分割時の前提条件が変更された
(例)新しい相続人が現れた

3 相続人が全員、やり直しに合意した場合