遺留分減殺請求をするには

生前贈与、遺言による相続分の指定、遺贈によって遺留分を侵害されてしまった相続人は、遺留分を侵害している人に対して、遺留分減殺請求をすることができます。

遺留分の減殺請求の方式に特に決まりはなく、遺留分を侵害している受遺者や受贈者、又は他の相続人に対して意思表示をすれば減殺の効果が生じます。この意思表示は必ずしも裁判上で行使する必要はありません。

但し、意思表示の方法としては、「いつ請求した」という証拠を残しておくためにも、配達証明付きの内容証明郵便等で行うのがよいとされています。

遺留分減殺の順序

遺留分を侵害された遺留分権者は、自己の遺留分を保全するのに必要な限度で、贈与や遺贈等について減殺を請求することができます。

その減殺の対象については、民法で次のとおり順序が定められています。

①遺贈と贈与がある場合の順序

まず遺贈から減殺し、不足があれば贈与を減殺します。

②複数の遺贈がある場合の順序

遺贈間での先後関係はなく、全部の遺贈がその価額の割合に応じて減殺されます。遺言者が遺言で減殺の順序や割合を定めている場合は、それに従います。

③複数の贈与がある場合の順序

贈与が複数あるときは、相続開始時に近い贈与から減殺し、順次、前の贈与を減殺します。

 

遺留分減殺請求に相手が応じない場合

遺留分減殺請求の意思表示により、法律上減殺の効果が生じるため、遺留分を侵害している相手方は、遺留分権利者に対して遺留分に相当する財産の返還等をしなければなりません。

しかし、遺留分の基礎となる財産の価額について争いがある場合等、遺留分減殺請求をしても、相手方が自主的に財産の返還に応じず、交渉しても話しがまとまらないケースも当然あります。

このような場合には、家庭裁判所に調停を申し立てたり、まとまらない場合には訴訟を提起したりすることになります。

法的手段を行使すれば返還を実現できる可能性は高まりますが、そもそも遺留分の計算を正確に行うことは容易ではなく、請求する権利が無いにも関わらず請求してしまった場合や、返還する物が無いにも関わらず請求してしまった場合には、後の人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

そのため遺留分減殺請求を行うに当たっては、弁護士ら専門家に相談するほうがよいでしょう。