遺産分割の調停での話し合いがまとまらない場合は、どうなりますか?

調停は不成立として終了しますが、引き続き審判手続で必要な審理が行われた上、審判によって結論が示されることになります。

 

遺産分割審判手続とは

遺産分割審判手続きとは、家庭裁判所の裁判官が双方から事情を聞いて、どのように遺産分割をするか決めてしまうことです。

裁判官が相続財産、権利の性質、相続人の年齢、職業、健康状態、生活環境などをすべて考慮し、法定相続分に見合った分割を指示します。
また、寄与分や、特別受益といったことも、判断材料に加えられます。寄与分については、あらためて審判の申立てを行う必要があり、その申立てがなければ、審判の対象とされません。

遺産分割方法には、現物分割、代償分割、換価分割、共有関係の形成という種類があり、裁判官の判断で決定されます。
遺産分割調停と違うのは、相続人の合意がなくても、裁判官の判断で分割方法が決められるという点です。

遺産分割審判手続きは、家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図るため、国が後見的な立場で相続関係に介入する手続きです。そのため家庭裁判所は、必要に応じて職権で事実の調査や証拠調べを行います。

また、審判の結果に不服のある人は、一定期間内(2週間)に即時抗告をすることができます。
即時抗告とは家庭裁判所の決定に不服がある場合に、高等裁判所へそのことを訴えることです。
遺産分割審判が確定したら、その内容についてはすぐに強制執行をかけることができます。

 

◎寄与分

共同相続人のなかに、被相続人の財産の維持や増加に貢献した者がいる場合には、その人の分配を多くすることができること。

◎特別受益

被相続人から生前、もしくは遺言で財産をもらったり、結婚や養子縁組のため、生計の資本として贈与を受けたりすること。

◎現物分割

個々の財産の形状や性質を変更することなく分割すること。遺産分割の原則的方法。

◎代償分割

共同相続人の1人又は数人に、ほかの相続人に対し債務を負担させて現物分割に代えること

◎換価分割

当事者の合意に基づく売却、現物分割が困難な場合で、代償金の支払による分割もできないときに、遺産を換価してその代金を分配する方法